公益財団法人 岡山県難聴者協会 会長 森 俊己
もう耳にされた方も多いと思いますが、コンビニ大手の株式会社ローソンでは、8月30日より、全国の店舗のレジ横に、耳マークを含む写真のような「指差しシート」の設置を始めています。「マスクの着用が日常的になったことで、聴覚障がい者の方は店員の口元の動きを確認できなくなり、買物時の店員とのコミュニケーションに悩まれています。ローソンは、そのような不便を解消するため、レジ袋やカトラリー、レンジでの温めの有無を指差しで確認することができるシートをレジカウンターに貼付し、買物時のコミュニケーションをサポートいたします。」(ローソンニュースリリースより)
聴覚障害をもつローソンの社員が提案し、実現したこの素晴らしい取組みを知った私は、さっそくローソンをはしごしました。どの店にも「指差しシート」が貼ってあり、耳マークを指差すと筆談対応をしてくれますし、絵を指差して伝えることもできます。やはり、当事者からの働きかけが大きな契機となるのでしょう。いろいろな場所に耳マークが設置されるようになるといいですね。
耳マークを示すことで相手に難聴が伝わり、配慮が受けやすくなります。当事者の私たちも、いつも受け身で「ありがとう」ではなく、例えば、耳マークを身に着けることで配慮を受けやすくする。そういった姿勢でいることも大事だと思います。耳マークは協会にありますので、必要な方はお問い合わせください。
他にも和歌山大学の学生が、聞こえる人と聞こえない人を繋ぐ筆談具「ノートラブル」を開発し、クラウドファンディングで社会全体の円滑なコミュニケーションを目指すプロジェクトに取り組んでいるなど、社会に動きがみられます。どのような配慮があれば社会と関りやすくなるのか?私たちに何ができるか?大きな声でなくてもいい、皆さんの声が欲しいのです。当事者の声を社会に届ける、協会はそのために存在しているといってもいいと、私は思っています。