「要約筆記の認知度」

やかげ要約筆記サークル 岡本 緑

 要約筆記者として活動を始めて10年が経ちました。一般社会への要約筆記の認知度は高まってきているでしょうか。矢掛町の現状としては聴覚障害者の方へのコミュニケーション支援というより聴覚の衰えが顕著になった高齢者の方へのコミュニケーション支援で講演会などに派遣される場面がほとんどです。
 高齢になっても意欲的に学ぼうとする時、要約筆記の必要性が高くなると感じます。現実問題として聴覚の衰えを自覚すると「講演を聞きに行っても話が聞こえにくいからどうしよう?」と二の足を踏んでしまわず、「聞き取れなくても話を書いてくれる人がいるから行ってみよう。聞きたかった内容だから」と講演会会場へ足を運ばれる方が一人でも多くいてほしいなと思っています。
 現実に講演会後、感謝の言葉を聞かせていただくことが増え、活動の意義を感じさせてもらっています。参加者以上に変化を感じるのが、講演される当事者の方の要約筆記の活動への対応です。「今日はお世話になります。私は活舌が悪いので聞き取りにくいと思いますが、よろしく」とか「早口になるかもしれませんがよろしく」「岡山弁で話しますがいいですか。でーこん(大根)、てーてーてー(炊いといて)」と参加者に向かって話しかけるとか。災害時の支援のありかたの講演では講師の方が「災害時には、今回書いてくださっているような要約筆記が役に立つのですよ」と参加者と要約筆記をつなげるような声掛けをしてくださる講師もいて、この活動が有意義なものだと納得する機会を得られる場でもあります。
 さらに、新聞記者の方の「矢掛町にはきちんと要約筆記がつくんですね。早口で聞き逃したと思った時にスクリーンにきちんと文字出ていて助けられました。すごいですね」との声にも励まされています。
 講演が終了すると、講師の方や担当者の方からねぎらいの言葉も聞かれるようになりました。わずかながらも認知度アップしているというところでしょうか。
当サークルは現在、要約筆記者2名と要約筆記奉仕員4名で構成されています。これからも要約筆記の認知度が上がるよう一歩一歩すすんでいきます。