「 令和6年度 総会あいさつ 」

公益社団法人 岡山県難聴者協会 会長 森  俊己

 まずは、岡山県難聴者協会の活動が、皆様のご支援とご協力をいただきながら今日まで続いておりますことに、深く感謝申し上げます。

 コロナ禍のため社会生活には多くの制約を強いられましたが、その不自由さを補うようにICT情報通信技術が身近なものとなりました。私たちの情報保障を考える上でも大きなウエイトを占めるようになり、全難聴をはじめ他県の組織でも取組みが進みました。私たちも取り残されてしまうことのないよう、積極的に対応を進めたいと考えています。

 一方で、孤立を招きやすい障害を抱える私たちにとって、人の温もりが感じられる活動は大きな支えとなっています。仲間が集って交流し、そのふれあいを糧に英気を養い、社会で活躍するきっかけができれば、この会の持つ意義も大きいと考えます。また、高齢化社会の訪れとともに増加している加齢性難聴の方々が、社会生活の中で埋もれがちな傾向も看過できない状況にあると思われます。皆で支え合って、仲間を増やしていきましょう。

 さて、令和6年4月「改正障害者差別解消法」が施行されました。従来の解消法でも「共生社会」を目指し、行政機関等及び事業者に対して障害のある人への障害を理由とする「不当な差別的取扱い」を禁止し、障害のある人から申し出があった場合の「合理的配慮の提供」及び「環境の整備」を求めてきました。今回の改正により、これまで合理的配慮の提供が努力義務であった事業者、すなわち企業や団体、ボランティア活動をするグループなどにも義務化されました。とはいえ、すぐに共生社会が実現するわけではありません。当事者と、配慮を提供する双方での建設的な対話が重要であると政府によって広報されています。本当の意味での障害者差別解消を達成するため、新たな法制度を背景に、皆さんにも、当事者として、あらゆる場面で声を出してほしいと思います。岡山県難聴者協会は、皆さんと一緒に社会に働きかけていきたいと考えています。一人では難しくても、皆さんの少しの勇気を出し合って、「困っている当事者の声」を届けたい。

 最初の一歩として、まずは協会に話してみてください。いつでもお待ちしています。

 「難聴」は、外見だけではわかりにくい障害です。聞こえの程度も人によって一様ではなく、どのように困っているのか周囲の人から分かりにくいといった特性が難聴に対する理解を妨げているのかもしれません。社会に働きかける一歩として、難聴という障害や、私たちに必要な配慮等を知ってもらうために、パンフレットを作成することにしました。小さな一石ではありますが、少しでも難聴理解が広がればとの期待と希望を込めて取り組んでいきます。

 最後にお願いがございます。活動の基盤となるべき岡山県難聴者協会が長く存続していくためには、組織として将来の展望や長期的な目標を明確に示すことが重要だと考えます。事務員を配し、事務局機能の強化を図るため、クラウドファンディング・継続寄付の募集を始めております。経費捻出の苦肉の策として、どうか皆様のお力添えを頂戴できますよう、切にお願い申し上げます。