「設立五十周年を目指して」

倉敷要約筆記サークル 早川利子

 当サークルは去年40周年を迎えました。ここまで繋げてきてくださった先輩方に感謝するばかりです。今を受け継いでいる私たちは今年の定期総会後、ささやかな祝賀会を開催し50周年を目指して新たな一歩を踏み出しました。

 当初、ボランティア団体として始まり、難聴者の人たちと共にゲームを楽しんだり、運動会に参加したりと、要約筆記を媒体にして皆さんで楽しんできました。しかし、要約筆記者として活動する際のハードルが年々高くなり、倉敷市ではここ数年合格者が出ていません。

 全国統一試験が行われるようになってから、要約筆記に携わる人たちの専門性は向上しているように思われますが、すそ野が広がっているような実感はありません。84時間の養成講座は要約筆記者としての専門性を身に付けるためには必要な履修時間ではありますが、かなりの負荷がかかる上に試験の難易度の高さから二度目の受験を諦める人も多くいます。

 また、要約筆記を社会に知っていただくための努力も必要だと感じています。要約筆記や手話の出前講座の募集をかけて頂くと認知度の差が歴然と現れます。もう少し社会的認知度を上げていくために何とかしなければとの思いがこみいあげてきます。

 近年、社会の変化が著しいです。人工知能の進化、情報保障の為の機器の進化等、要約筆記をめぐる状況は日々変わっています。要約筆記に対する利用者の思いも様々だと思います。この頃、聞こえてくること全てを文字にして伝えてほしいという声があります。各々が利用している文字認識アプリなどで対応できる部分もありますが、私たち要約筆記者の役割や、要約筆記という通訳業務の本質を知って頂くことも重要だと思っています。それらが説明できるだけのスキルを私たちが持っていなければなりません。

 でも、時々思うことがあります。ボランティアで活動していた頃、できる範囲で支援し手助けしていた時代を懐かしく思ったりします。

 しかし、福祉サービスとして要約筆記が設置されたからには、担い手としての意識改革も必要だと思っています。

 さて、今年度も倉敷市要約筆記奉仕員養成講座が6月から始まりました。今回の受講者は7名です。月2回、木曜日午前中の講座になっています。すでに2回の講座が終わり、講座の入り口である「要約筆記の基礎知識」について熱心に学んでいただきました。これから頑張って要約筆記者への道を進んでいただけるように当サークルとしてもしっかりとサポートしていきたいと思っています。講師は岡山県要約筆記指導講師団に担当していただいています。終了までどうぞご協力ご支援をお願いいたします。