長く厳しかった猛暑も、やっと落ち着いたでしょうか。お彼岸も過ぎ、秋風が心地よい季節になりました。
今年の備前要約筆記クラブの目玉活動の一つが、難聴者との交流会でした。毎年4月の総会で計画しても、コロナ禍以降は実現できていませんでした。今年は、状況を勘案した結果、6月に実施しました。
備前市の難聴者を引っ張ってくれていたWさんもずいぶんとご高齢になり、数年前から当市での難聴者活動はなくなりました。それでも、長く一緒に活動していた難聴者の方々とのご縁は繋がっているので、お声をかけて背中を押して、蒜山高原へのバス旅行を楽しんできました。
私たち要約筆記の仲間も難聴者も家族同伴での参加でしたので、わきあいあいと4歳から七十代までの笑顔が弾けます。バスの中では、サプライズのクイズ大会も。難聴者の方にはバスの前方に座っていただき、ホワイトボードをかざしながら、「蒜山・真庭市クイズ」で盛り上がりました。難聴者とのお喋りはノートテイクで。お困りごとのやりとりをしているうちに、お互いに表情が柔らかくなっていくひとときでした。
ハーブガーデンで季節の花々と美味しいハーブティーを堪能し、ヒルゼン高原ジョイフルパークでは、昼食の「蒜山おこわセット」とジャージーソフトをいただいて、思い思いに過ごしました。誰かれとなく携帯用ホワイトボードやA4用紙をカバンから取り出し、お喋りを楽しむことができました。普段は机についての学びですが、開放感ある屋外での交流会で、いつもと違う通訳が体験でき、気づきをいただける貴重な場になりました。
また、備前市要約筆記奉仕員養成講座が7月に始まりました。受講生はお二人ですが、「毎回、発見が多くわくわくする」と受講に前向きです。好奇心が衰えることなく最後までたどりつけるよう、備前の講師陣もしっかり準備して臨みたいと思っています。
秋はイベントの季節です。10月の備前焼まつりでは、苗の販売の合間に要約筆記の話を聞いていただき、リーフレットを手渡します。11月の市民ふれあい福祉まつりでは、手話サークルと一緒に体験コーナーで啓発活動を行います。会場内で「こどもまんなかフェスタ」を同時開催しているので、小さな子ども連れの親子が足を止めてくださいます。残念なことに、要約筆記を知らない方が多いのですが、子どもたちはロールに文字を書いてスクリーンに映し出す体験をしながら、興味深く話を聞いてくれます。
当市では、ここ数年個人派遣がなく、団体派遣だけの状況です。地元での要約筆記の知名度の低さを感じていますが、機会をみつけて地道にアピールを続けていきたいと思います。
ただいまクラブメンバーは16名。家庭の事情や介護等で足が遠のいている方もおられ、登録要約筆記者の実動部隊は5名ほど。団体派遣をぎりぎりでこなしているのが実状です。課題の解決は簡単ではありませんが、仲間と共に歩みを止めず頑張ってまいります。